なぜ、ふとんに羊毛を使うのか?
①その優れた吸湿・放湿性
羊毛は、この世に存在する天然繊維の中では最高の吸湿性をもち、湿度の変化にすこぶる敏感で、たえず吸湿から放湿、放湿から吸湿へと動いているのです。しかも水滴に対してはこれをはじくという優れた作用をします。羊毛は生きているといわれるゆえんであり、汚れにくく衛生的であるという大きな利点をもたらしてくれます。
②夏は涼しく、冬は暖か
羊毛は、紫外線を透過する率が他の繊維より大きく、また、熱伝導率が極めて低いために、外気の変化に対してその影響を受けにくく、羊毛の中に抱えられた空気は1年中ほぼ常温を保つことになります。しかも、優れた吸湿性によって吸湿された湿気は、そのままとどまることはなく、還流している空気によって分散・放出されるため、ベトつかず、夏は涼しく快適にすごせ、反面冬には素晴らしい保温性を発揮します。
③抜群の発熱繊維
吸湿性の大きい羊毛は水分を吸収したときに多量の吸着熱(湿潤熱)を出します。
発熱量はナイロンの約4倍にもなります。
電気を使用した寝具のような暖かさではなく、自然なぬくもりを体感できます。
④ストレスフリー
羊毛は私たち人間と同じたんぱく質でできています。肌に近い部分で使用する場合、化石燃料から作られる化学繊維とくらべ、ストレスを感じにくいと言われています。
羊毛を使用した寝具で寝かせた赤ちゃんの生育が化学繊維を使用した寝具で寝かせた赤ちゃんよりも早いというケンブリッジ大学の研究でも証明されています。
また、睡眠中の脳波測定でも羊毛を使用した寝具での睡眠の方が、より睡眠深度が深いことも実証されています。
⑤難燃性なので安心・安全
化学繊維の多くは、一度火がつくと燃え尽きるまで消えませんが、羊毛は水分を多く含み発火温度が高いので燃えにくく、またLOI値は25.2で燃え広がりにくいのです。羊毛ふとんなら万が一のときも安心・安全です。(LOI値は限界酸素指数といい、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度のことです。)
⑥羊毛は地球にやさしい
羊毛は地球環境にやさしい繊維です。太陽と適度の雨と草があれば羊はすくすくと育ち、地球環境を破壊する懸念も、資源が枯渇する心配もありません。また、羊毛はたんぱく質で構成されていますので、完全に生分解される繊維です。自然から生まれて自然に還る、地球にやさしい繊維です。
ウールと睡眠
睡眠とは?
睡眠とは4段階(1,2,3,4)に分類されます。各ステージは、夢に対応し、睡眠の深さとREMが増加します。
通常の睡眠パターンは、深い眠り(ステージ3,4)と、より浅く短い覚醒が点在する夢をみる睡眠(レム睡眠)周期と含んでいます。
このパターンは全体的な睡眠をかなり安定させて、深い眠りの持続と夢をみる期間は、睡眠の質の悪化を引き起こしている睡眠環境における有害因子によって減らすことができます。
生涯の1/3をベッドで過ごしている… このことを知っていますか?
よく、そして、十分に長く眠る事は身体的にも精神的にもリチャージします。このことは、仕事や勉強、家族と過ごしたりレクリエーション活動をしたりする時に、最適に機能する為に極めて重要なことです。
ウールはよりよく眠れる
・羊毛布団での睡眠はレム睡眠の量を増やす事ができます
・羊毛布団では25%以上のステージ4の睡眠につながります
縦軸:心拍数、横軸:時間(分)
ウェールズの総合技術専門学校(人間工学)でおこなわれた研究で、被験者に羊毛のキルトとポリエステルのキルトの下で眠ってもらい、低心拍数とより好ましい“肌のとなり”の微気候の状態を観察しました。
より穏やかな休みと、よりよい目覚めのための一貫したくつろぎを提供しています。
縦軸:湿度、横軸:時間(分)
羊毛布団での相対湿度は、71%の時間で著しく低下します。
よく知られているウールの水分管理の特性は、自然に身体の冷却を補助します。
これは、眠っている人をより快適な状態にしていると推測されます。
縦軸:温度(℃)、横軸:時間(分)
快適であるための最適な温度は33℃とされています。33℃からより偏差が大きいほど、より快適性が低下します。
羊毛布団はポリエステル布団(時間の約80%)より30度以上の上昇が小さいです。
ウール寝具は皮膚の温度をよりよく冷却して、自然な24時間周期の冷却(ポリエステル…肌の温度が上昇)に調和しています。
ウールの耐火性
全ての一般的な繊維繊品が悩まされている耐火性を、ウールは多くの要因によって最も自然に備えています。
高い発火温度
ウールはほとんどの繊維製品よりも燃えにくいです。255度で光を捉える綿と比べて、ウールは発火する前に570~600度の温度に達する必要があります。
【発火温度(℃)】
一般的な織物繊維において、ウールが最も高い発火温度になります。
高い限界酸素指数
標準的な試験条件の下で、炎が維持する為の限界酸素指数を測定すると、ウールは非常に高い濃度の酸素(自然界に存在するよりもかなり高い)を必要とします。大気中の酸素の割合は21%であり、綿やレーヨン、ナイロン、ポリエステルが燃焼するのには十分あります。しかしながら、ウールの場合は酸素レベルが25.2%必要となり、これは周囲のレベルより4%以上も高く、すなわち標準的なテストにおいて炎をサポートしません。
【限界酸素指数】
唯一、ウールだけが燃焼するために、大気中にある酸素レベル(21%)以上の酸素を必要とします。
低い燃焼熱
ウールは燃える時、一般的な合成物より少ない熱を放出します。ウールの燃焼熱は4.9Kcal/gである一方、ポリエステル5.7kcal/g、綿 3.9kcal/g、そしてナイロンは非常に高く7.9kcal/gとなります。
低い熱発生率
綿はウールよりも燃焼熱が低いですが、熱発生率ははるかに高く、今日、より広範囲の火災科学コミュニティでは、火災の状況で本当の危険性を判断するのは燃焼熱であると認識されています。
【燃焼熱(Kcal/g)】
綿はウールよりも低い燃焼熱だが、放熱の割合は高くなっています。
自己消火性
もし、ウールに火がともったら、ウールは自己消火する傾向があります。ウール繊維は自然に高いレベルの窒素(一般に難燃剤として使用される要素)が含まれています。そして、ウールが燃焼するのに十分加熱されると酸素を排除して炎を消す絶縁発泡体を生成する傾向があります。
溶融しない
ポリエステルは252~292℃で溶融し、ナイロンはさらに低く150~260℃で溶ける一方、ウールは決して溶けません。その為、一般的な多くの合成繊維のように肌に付くこともなく、火傷の被害者から重大な医学的合併症を免れさせます。
【生地の融点】
ウールは決して溶けません。もし燃えた場合でも、自己消火性となっています。
※No Melting Point:融点なし
要約
高い発火温度、低燃焼熱、自然界に存在するよりも高い酸素濃度の必要性は、ウールがほとんどの合成繊維よりも火がつきにくいことを意味します。しかしながら、熱発生率の低さ、自己消火する傾向、そして消して溶ける事のない事実が、ウールは全ての一般的な織物繊維のなかで最も高い天然の耐火性も持っていることをあらわしています。
出典
- CSIRO, “Flame resistance of wool”
- Flame Resistant Fibres and Fabrics (2003)., Performance Apparel Markets, Issue 6, 3rd Quarter, 2003
- Benisek, L.(1976) Development of Flame Resist Treatments for Wool, Wool Science Review No.52, pp30-63.
- Horrocks, A.R.,(2003) Flame-retardant finishes and finishing, in: Heywood,D.(Ed.) Textile Finishing, Bradford, Eng.: Society of Dyers and Colourists
- Horrocks,A.R. et al.(2005) Developments in Flame Retardant Textiles-a Review. In Polymer Degradation and Stability. Vol 88, Issue No. 1, April
All figures and tables courtesy of CSIRO unless otherwise noted.
健康上の利点
多くの人の睡眠改善、乳児の体重増加及びSIDSリスクの減少、また、入院患者の微生物感染の発生率低下など、多くのウールの健康上の利点が研究によって明らかとなりました。
一般的な健康上の利点
一般的な人にとってウールの主な健康上の利点は睡眠が改善されることです。これは、体と寝具の間に快適な微気候を維持することができる、ウールの比類ない能力に起因します。
優れた断熱材
ウール繊維の繊度とその自然の波形は数百万もの小さなエアポケットを作り出し、ウール繊維が合成繊維より非常に良い断熱材となる手助けをしています。これは、合成繊維の寝具で眠っている人が起きるかもしれない外部の温度変化から眠っている体を守るのに役立ちます。
湿度制御
【図1. 吸収】
ウールの優れた水分吸収の能力は、睡眠のためのより快適な気候を作り出す緩やかな湿度変化をすることができます。
縦軸:吸収された水の最大重量/乾燥重量×100%
横軸:(赤)合成繊維 (緑)綿 (黄)ウール
少なくとも、極端な温度の中で眠っている人から断熱するウールの能力と同程度に重要な能力として、ウールは穏やか湿度変化をもたらします。合成繊維は水分を吸収する能力がわずかにしかない一方、ウールは自重の35%までの液体を吸収することができます。これは、寝具の下にできる高湿度の状態においてウールはミクロの空気から蒸気を抜き出して、睡眠を妨げる可能性のある不快な湿り気を感じる不快感を減らすことを意味します。(図1)
水分移動
さらに、ウールは皮膚から汗を吸収して大気中に蒸発させる優れた能力を有しています。事実、CSIROのテストでは、合成繊維よりも27%皮膚から不快な汗を移動することが示されました。ウールは睡眠中にドライで快適な肌を保つことにより優れているだけでなく、この蒸発の過程は、実際には、より一層快適な寝具の状態を作り出す温度の低下を作り出します。
ウール毛布vsアクリル綿混毛布
1986年、ドイツのシュタイン研究所のウムバッハ(Umbach)は、ウールとアクリル綿混の毛布を使用して睡眠実験を行い、ウールの健康上の利点を検証しました。
・より少ない熱と不快で冷たい湿っぽさ
【図2. ウール毛布とアクリル綿毛布での温度や湿度の変化】
ウムバッハ研究所において、アクリル綿毛布では被験者の75%が暑く88%がじっとりと感じたのに対し、ウール毛布では、38%が暑く50%がじっとりと感じたことがわかりました。
赤線…アクリル綿
緑線…ウール
上図:縦軸…湿度 横軸…時間(分)
下図:縦軸…肌温度 横軸…時間(分)
ウール毛布は、8~20%高い断熱性と50%より多くの汗を吸収するという理論的な予測を確認しました。さらに、アクリル綿毛布では、被験者の75%が不快な暑さを感じ88%がじっとりと感じた一方、ウールの毛布ではそれぞれ38%と50%でした。(図2)
ウールの圧倒的支持
5段階評価(1が良く、5になるにつれて評価が落ちていく)において、被験者はアクリル毛布に3.9の評価をだし、そのうちわずか25%がアクリル毛布で眠りたいと述べました。一方、ウールの毛布では2.1の評価をだし、75%の被験者が、たとえ暖かい気候の時でもウールの毛布で眠りたいと述べました。
低い心拍数
より予測しにくい発見において、ウール毛布の下で眠る被験者の平均脈拍数は毎分60拍子と『正常』だったのに対し、アクリル綿毛布の下では不安定な毎分80拍子(暑苦しさで高水準を示す)だったことを、Umbach(ウムバッハ)は発見しました。
睡眠中のウール下敷の影響
1984年ディクソンの研究において、下敷きなしで眠っている(15分間と考えられます)人と比較して、ウールの下敷きで眠る被験者の体の動きのない時が20%以上多くあったことがわかりました。
また、ウールのアンダーブランケットを使用した被験者は、朝の気分がより良いと感じ、60%の人が使用することを熱望しました。
乳児のためのウールのメリット
医学研究において、ウールは体重増加や満足度の向上となる乳児の睡眠パターンの改善が証明されています。また、乳児をウールで包むことは、SIDSのリスクを低減する可能性があることを示しています。
乳幼児の睡眠におけるウールの影響
ウールとSIDS
多くの研究は、乳幼児をくるむことが乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性を低下させる傾向にあると示しています。過熱状態が多くのSIDSの重要な因子とされており、前述した熱や湿度を調節する能力によって、ウールをくるむ布として使用することは説得力のある十分な論拠となります。
アレルギーの減少
また、DemolyとBousquetは、ベットカバーの選択は、小児呼吸器アレルギーの有病率に影響を与えることを発見しました。チリやダニは高温多湿の環境を好みます。そして、ウールは合成より温度と湿度の両方を低下させることにおいて、はるかに優れていることを示しています。ダニの増殖を防止するには定期的に掃除をすることも必要です。これは、合成の掛け布団に綿のカバーを使用するより、ウールの毛布のほうがはるかに手入れが簡単です。
耐火性
ウールが子供達の健康を守るのに役に立つもう一つの方法は耐火性です。ウールは発火する前に非常に高い温度を必要とし、また、大気中で炎を持続する為により高い酸素レベルを必要とします。ウールはけして溶けず、つまり、合成では溶けて肌についてしまうことがウールでは起こらないことを意味します。そして天然の難燃剤が含まれており、たとえウールが火を捕らえても、自己消火する傾向があります。
入院患者の為のウールの利点
熱と湿度を減少させて睡眠を改善するような利点や耐火性は、入院患者の健康を向上させることに役立ちます。しかしながら、けがや病気の療養する人の回復の手助けのような他の利点もあります。
抗菌
細菌はウール繊維のようなうろこ状で自然に荷電した表面よりも、合成繊維のように滑らかで陽電気を帯びた表面に引き付けられる傾向にあります。ウールの抗菌品質は、オーストラリアニューサウスウェールズ州にあるゴスフォード病院とオラナ療養所で行われた5ヶ月間の試みで確認されました。研究で、ウール毛布では細菌の群体は見つかりませんでしたが、綿のシーツでは50の群体が見つかりました。
容易な洗濯と耐久性
ウールは高温で洗うことができるという事実は、病院にとってより賢明な選択肢となります。綿は細菌を取り除く為に沸煮することができますが、60~120回の洗濯サイクルしか耐えられません。一方、ゴスフォード病院ランドリーマネージャーの報告では、ウールは600~700回の洗濯サイクルに耐えることができます。
下敷きと床ずれの削減
1964年の研究では、羊毛の下敷きは、潰瘍性圧力や褥瘡の予防の助けになることを示しました。病院の臨床試験は、患者がウールのアンダーブランケットの上で寝た時に、より均等に自分の体重を分散させて、敏感な部分への圧力を低下させていることを示しました。その結果、患者の通常脆弱な肩、腰、足首の部分への潰瘍の発生率がより低いと報告されました。
要約
ウールの優れた断熱性、微気候制御および水分移動は睡眠パターンや一般的な健康を改善すると多くの試験で証明しています。ウールの寝具で寝る乳児は、より早く落ち着き、泣く事も少なく、体重増加がより早く、また一方、ウールでくるむことによりSIDSの原因の一つと考えられている過熱を低減させているようにみられます。入院患者はウールの抗菌資質や細菌を殺す温度で繰り返し洗える能力の恩恵を受け、また、ウールの下敷きは床ずれの発生率を減少させることが示されました。
出典
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, VI, 2004,”Effect of wool blanket use on sleep”
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, VII, 2004,”Effect of wool blanket use on children”
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, IX, 2004,”Wool blanket in hospital environment”
- Demoly,P.and Bousquet, J.,2000. Dormir avec une couverture: des incidences inattendues sur la santé. Colloque Sante et Vie quotidienne, Ecole de Medeccine, Paris pp 26-30
- Scott,S.,and Richards,M. 1979. Nursing low-birthweight babies on lambswool. Lancet, pp 1028
- Scott,S.,and Richards,M. 1983. Lambswool is safer for babies. Nursing low-birthweight babies on lambswool. Lancet, pp 556.
- Scott,S.,Cole, T.,Lucas,P. and Richards,M. 1983. Weight gain and movement patterns of very low birthweight babies nursed on lambswool. Lancet,pp 1014-1016.
- Dickson,P.R. 1984. Effect of a fleecy woollen underlay on sleep. The Medical Journal of Australia, Jan 21, 87-89.
- New Zealand Wool Board. 1964. Sheepskin rugs for nursing. Wellington: New Zealand Wool Board.
- Pressley, T.A. The use of textiles in hospitals. CSIRO Division of protein chemistry, Melbourne.
- Pressley, T.A.,Rubbo, S.D., Stratford, B.C. and Dixson,S.1960. Vehicles of transmission of airborne bacteria in hospital wards, The Lancet, 397-400.
- Pressley, T.A., 1961. CSIRO Division of protein chemistry, Melbourne, “Blanket for institutional use”, Educational bureau NAILM.
- Umbach,K.H. 1986. Comparative thermophysiologocial tests on blankets made from wool and acrylic-fibre-cotton blends”, J.Text. Inst., No3. Paper presented at conference entitled “Comfort in Textiles” organised by the Manchester and district section of the Textile institute and held at the University of Manchester Institute of Science and Technology on 4 April, 1984.
自然・地球に優しい・生分解性
自然
ウールは100%天然素材です。そして、人類が知りうる厳しい天気に対して最も効果的な全天候型の保護を作り出すための羊によって100万年以上発展しています。人が作り出す繊維は、ウールの天然起源の特質の組み合わせの再現に近づけません。
再生可能
ウールは再生可能な資源です。ウールの生産は無期限に一定のレベルを維持することができる製法です。毎年新しい羊毛が成長し、動物に危害を加えることなく除去できます。
生分解性
ウールは非常に丈夫です。一つの繊維で壊れる前に2万回曲げることができ、やがてウールは分解してその構成要素に戻ります。一方、ほとんどの合成物は偏在するプラスチックのレジ袋のようなものです。一度作られるとその構成成分が分解することは極めて遅いです。
環境配慮
他の織物繊維と比較して、ウールは製品のサプライチェーンを通して低い有害化学物質の使用や還元水汚染を減少させて生産されます。ウールは非常に小さな環境負荷で加工されます。
ウールの健康上の利点
ウールはカビに対して自然な抵抗力を持っている
ウールは天然のウィッキング繊維のため可能です。実際に、ウール繊維はウール自体にいかなる水分を保持することなく水分を通らせます。カビは成長するうえで湿っぽい環境なしでは生き残れません。さらに、カビがウール上で成長する唯一の方法は、ウールが空気の循環を可能にしない水の中に浸している時です。
ウールは温度を調節する能力を持っている
ウール繊維は体の近くに空気ポケットを保っています。コイル状の繊維は自然に皮膚から余分な熱と水分を運んで、良い睡眠のための最適な温度ゾーンをつくりだします。
ウールは心拍数を低く保持する
ウェールズ工科大学の科学者によって行われた調査では、眠っている間の人に多くの繊維の効果を測定しました。彼らは、ウール繊維が皮膚をより乾燥しておく傾向があるだけでなく、驚くことに、中綿にウールを使用した掛け布団を使用した被験者の心拍数が低いことを発見しました。心拍数が低いということは、睡眠が深く、リラックスした状態なことをあらわします。他の繊維を使用した被験者は、同じ心拍数を維持するか上昇しました。
ウールは主に非アレルギー性である
当社のウールは、塩素や防虫化学薬品などのきつい化学薬品を使用せずに処理されます。少数の人々はラノリン(ウールに含まれている油)に対してアレルギーを起こしますが、大部分のアレルギー反応は、ウールの衣類や寝具を作成する時に使われる有毒な化学物質によって引き起こされます。寝具カバーに綿織物を使用しますが、他の充填物が持っているカビの問題はありません。
健 康
研究ではほとんどの人の睡眠を改善し、赤ちゃんの体重増加とSIDSのリスクを減少させ、また、入院患者の微生物感染の低発生率となるオーストラリアウールに対する多くの健康上の利点を明らかにしました。
一般的な健康上の利点
一般にウールの主な健康効果は睡眠の改善です。体と寝具の間にできる快適な微気候を維持するウールの比類のない能力に起因しています。
優れた断熱材
ウール繊維の細かさとその自然の波形は何百万もの小さいエア・ポケットを作成し、それは合成織物よりはるかに良い断熱としてウール生地の手助けとなっています。このことは、合成の寝具で眠っている人を起こすかもしれない温度の外部変化から睡眠中の体を守るのに役立ちます。
湿度制御
【図1. 水分の吸収】
水分を吸収する優れたウールの能力は、睡眠の為のより快適な気候を作り出す湿度の変化の緩衝となっています。
縦軸:吸収された水/乾燥重量の最大重量×100
横軸:Synthetics – 合成
Cotton – 綿
Merino – ウール
少なくとも極高低温から眠っている人を保護するウールの能力と同じくらい重要なのは、湿度の変化を緩衝する能力です。合成はごくわずかな水分を吸収する一方、ウールは液体中でウール自信の重さの35%まで吸収することができます。つまり、高湿度の状態である寝具の下に置く事ができることを意味しており、ウールはマイクロ空気から蒸気を引き上げて、そして、眠りを中断させる不快な湿り気による不快感を減らす能力を持っています。(図1)
水分移動
また、ウールは皮膚から汗を吸収し、大気に蒸発させることができる優れた能力を有しています。事実、CSIRO のテストにおいて、合成繊維よりも27%多く不快な汗を皮膚から遠ざけることが示されました。これは、ウールが睡眠中により皮膚を乾燥させて快適に保つだけでなく、この蒸発の過程は、実際には、より快適な寝具の下を作るように作用する、温度の低下を作り出すことを意味します。
ウール毛布vsアクリル綿混紡の毛布
1986年、ドイツのホルスタイン研究所Umbach(ウムバッハ)は、ウールの毛布とアクリル綿混紡で作られた他の毛布を使用して睡眠実験を行い、ウールの健康上の利点を検証しました。
・より少ない熱と不快で冷たい湿っぽさ
【図2. ウール毛布vsアクリル綿毛布の温度や湿度の変化】
ウムバッハ研究所において、アクリル綿毛布では被験者の75%が暑く88%がじっとりと感じたのに対し、ウール毛布では、38%が暑く50%がじっとりと感じたことがわかりました。
赤線…アクリル綿
緑線…ウール
上図:縦軸…湿度 横軸…時間(分)
下図:縦軸…肌温度 横軸…時間(分)
ウール毛布は、8~20%高い断熱性と50%より多くの汗を吸収するという理論的な予測を確認しました。さらに、アクリル綿毛布では、被験者の75%が不快な暑さを感じ88%がじっとりと感じた一方、ウールの毛布ではそれぞれ38%と50%でした。(図2)
ウールの圧倒的支持
5段階評価(1が良く、5になるにつれて評価が落ちていく)において、被験者はアクリル毛布に3.9の評価をだし、そのうちわずか25%がアクリル毛布で眠りたいと述べました。一方、ウールの毛布では2.1の評価をだし、75%の被験者が、たとえ暖かい気候の時でもウールの毛布で眠りたいと述べました。
低い心拍数
より予測しにくい発見において、ウール毛布の下で眠る被験者の平均脈拍数は毎分60拍子と『正常』だったのに対し、アクリル綿毛布の下では不安定な毎分80拍子(暑苦しさで高水準を示す)だったことを、Umbach(ウムバッハ)は発見しました。
睡眠中のウール下敷の影響
1984年ディクソンの研究において、下敷きなしで眠っている(15分間と考えられます)人と比較して、ウールの下敷きで眠る被験者の体の動きのない時が20%以上多くあったことがわかりました。
また、ウールのアンダーブランケットを使用した被験者は、朝の気分がより良いと感じ、60%の人が使用することを熱望しました。
乳児のためのウールのメリット
医学研究において、ウールは体重増加や満足度の向上となる乳児の睡眠パターンの改善が証明されています。また、乳児をウールで包むことは、SIDSのリスクを低減する可能性があることを示しています。
乳幼児の睡眠におけるウールの影響
様々な研究では、乳児を直接ウール寝具の上に置くと、活動率を低下させてより深く安らかな眠りをつくりだし、より速い成長率を確かめられた事実がわかりました。1979年ケンブリッジマタニティ病院で、スコットとリチャードは、低出生体重児でのウール寝具の影響を調査し、ウール寝具を使用しなかった乳児に比べて一日10g多く体重の増加を確認しました。また、スコットは自宅にいる乳幼児においても同様の研究を行い、ウール寝具で眠っている乳児は、より早く落ち着き、泣く事も少なく、より長くミルクを飲む事がわかりました。また、ウール寝具で寝ている乳幼児の親は、より強い親子の絆を感じていると報告されました。
ウールとSIDS
多くの研究は、乳幼児をくるむことが乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性を低下させる傾向にあると示しています。過熱状態が多くのSIDSの重要な因子とされており、前述した熱や湿度を調節する能力によって、ウールをくるむ布として使用することは説得力のある十分な論拠となります。
アレルギーの減少
また、DemolyとBousquetは、ベットカバーの選択は、小児呼吸器アレルギーの有病率に影響を与えることを発見しました。チリやダニは高温多湿の環境を好みます。そして、ウールは合成より温度と湿度の両方を低下させることにおいて、はるかに優れていることを示しています。ダニの増殖を防止するには定期的に掃除をすることも必要です。これは、合成の掛け布団に綿のカバーを使用するより、ウールの毛布のほうがはるかに手入れが簡単です。
耐火性
ウールが子供達の健康を守るのに役に立つもう一つの方法は、耐火性です。ウールは発火する前に非常に高い温度を必要とし、また、大気中で炎を持続する為により高い酸素レベルを必要とします。ウールはけして溶けず、つまり、合成では溶けて肌についてしまうことがウールでは起こらないことを意味します。そして天然の難燃剤が含まれており、たとえウールが火を捕らえても、自己消火する傾向があります。
入院患者の為のウールの利点
熱と湿度を減少させて睡眠を改善するような利点や耐火性は、入院患者の健康を向上させることに役立ちます。しかしながら、けがや病気の療養する人の回復の手助けのような他の利点もあります。
下敷きと床ずれの削減
1964年の研究では、羊毛の下敷きは、潰瘍性圧力や褥瘡の予防の助けになることを示しました。病院の臨床試験は、患者がウールのアンダーブランケットの上で寝た時に、より均等に自分の体重を分散させて、敏感な部分への圧力を低下させていることを示しました。その結果、患者の通常脆弱な肩、腰、足首の部分への潰瘍の発生率がより低いと報告されました。
要約
ウールの優れた断熱性、微気候制御および水分移動は睡眠パターンや一般的な健康を改善すると多くの試験で証明しています。ウールの寝具で寝る乳児は、より早く落ち着き、泣く事も少なく、体重増加がより早く、また一方、ウールでくるむことによりSIDSの原因の一つと考えられている過熱を低減させているようにみられます。
出典
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, VI, 2004, “Effect of wool blanket use on sleep”
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, VII, 2004, “Effect of wool blanket use on children”
- Sante Prevention Recherche Information Medicales, Box, IX, 2004, “Wool blanket in hospital environment”
- Demoly,P.and Bousquet, J.,2000. Dormir avec une couverture: des incidences inattendues sur la santé. Colloque Sante et Vie quotidienne, Ecole de Medeccine, Paris pp 26-30
- Scott, S. and Richards, M. 1979. Nursing low-birthweight babies on lambswool. Lancet, pp1028
- Scott, S. and Richards, M. 1983 Lambswool is safer for babies. Nursing low-birthweight babies on lambswool. Lancet, pp556.
- Scott, S., Cole, T., Lucas, P. and Richards, M. 1983. Weight gain and movement patterns of very low birthweight babies nursed on lambswool. Lancet, pp1014-1016.
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- New Zealand Wool Board. 1964 Sheepskin rugs for nursing. Wellington: New Zealand Wool Board.
- Pressley, T.A. The use of textiles in hospitals. CSIRO Division of protein chemistry, Melbourne.
- Pressley, T.A., Rubbo, S.D., Stratford, B.C. and Dixson, S.1960. Vehicles of transmission of airborne bacteria in hospital wards, The Lancet, 397-400.
- Pressley, T.A., 1961. CSIRO Division of protein chemistry, Melbourne, “Blanket for institutional use”, Educational bureau NAILM.
- Umback, K.H. 1986. Comparative thermophysiologocial tests on blankets made from wool and acrylic-fibre-cotton blends”, j.Text. Inst., No3. Paper presented at conference entitled “Comfort in textiles” organized by the Manchester and district section of the Textile institute and held at the University of Manchester Institute of Science and Technology on 4 April, 1984.
http://www.inter-weave.co.nz/BEAUTY+OF+WOOL/Health+Benefits.html